なぜヘルプマークの啓蒙は浸透しないのか?

2012年から、東京都を中心に普及がはじまったヘルプマーク。私たち精神疾患だけでなく、リウマチやクローン病のような自己免疫疾患、そして癌疼痛といった内部障害、衣服の上からは見えない義足などを抱える人たちが着用できる東京都公式のマークで、現在は各地方自治体でも配布されるようになりました。驚くべきことに近年は、妊婦向け雑誌でも、マタニティーマークと一緒に着用することを推奨するような記事さえみかける。なのに、ヘルプマークは長年都営線や都営バスでの啓示がほとんどで、私鉄で啓蒙がはじまったのはごく最近。今でも、このマークを着用していても席を譲ってもらえないことがしばしばだ。一体なぜヘルプマークの啓蒙は浸透しないのであろうか?

これについてツイッターで各関係者とやりとりしているうちに、ある問題が浮かび上がった。それは、ヘルプマークの配布がバラマキ状態で、本当に必要としている人が着用しているのか、必要性の低い人がファッションとして(あるいは言い方が悪いがズルをする目的で)身に着けている可能性を、一般の人が判断できないからではないかというものだ。下図は、私のツイッターで行ったアンケート調査の結果である。


結果からなんとなくわかるように、ヘルプマークは(マタニティーマークもそうであるが)、その人が本当に病人や障害者なのかよく精査されないまま、自治体の役場や駅で配布され続けている実態があるようだ。

 

もちろん他の可能性も考えられる。妊婦なら誰しも...少なくとも人口の1/4くらいは出産を経験あるいはこれから経験するであろう女性であるから、なんとなくしんどいことは理解できる。でもヘルプマークは対象が多岐に渡るので、どのような助けを必要としている人なのかいまいちわかりにくい。

 

初期の頃のヘルプマークとは異なり、近年のヘルプマークには、具体的にどのような障害があり、助けを必要としているのか書き込むことができるバージョンが配られている。しかし、身体障害ならまだしも、知的障害や精神障害だと、たとえ病名を知っても一般の乗客はどう対応していいのかわからないのではないだろうか。特に、ヘルプマークは精神障害者の間で急速に広まった感が私にはあるのだが、健常人にはどうして精神障害者が乗り物に立って乗ることが辛いのか理解できないだろうし(私は最近克服するまで6年間乗り物に乗ると体調が悪くなり、座らせていただかないと、とてもじゃないけど生活できなかった)、そもそも精神障害といっても怖い病気の人だったら「なんだか絡まれたらいやだなぁ。見て見ぬふりをしよう。」と考えてしまう人も多いのではなかろうか。最近では「身体障害者なのに、メンヘラと勘違いされるのは嫌だから身に着けたくない」という、障害者が障害者を差別する事態にまで発展しているようにも思う。

 

とにもかくにも、ヘルプマークの配布を適正なものにしていくことは、当事者としての責務ではないか。これからこのサイトでは、各関係団体(患者家族会、NPO、社団法人、行政など)にこの問題提起をしていきたいと思う。もちろん、診断書を出さないと貰えないとなることに不便を覚える患者さんも出てくるだろう。でも、私が薬剤師として働いていた時に「お前が俺の人生の辛さの何が分かるのか!」と突然どなってきたリウマチ患者の男性が、ヘルプマークを鞄につけていたのを見た時、私はこの問題に立ち向かわなければと思ったのです。(2019.12.2)

 

どうかみなさんご協力お願いします。ご意見はお問い合わせフォーム等でお知らせください。